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2020-09-09

小児の喘息

 2歳以下ではぜんそく以外の病気もある 
 小児のぜんそく患者は、いまでは20人に1人とまでいわれるほど、増加の一途をたどっています。発作の原因には屋内のホコリやダニ、花粉その他、多くのアレルゲンがありますが、増加の原因には、現在の生活環境がこのような原因物質をつくりやすい環境になっていることが挙げられます。また、アレルゲン物質以外にも、心理的要因も無視できません。心理的ストレスや疲労は、一度起きた発作を重くしたり、治りにくくするためです。医師がぜんそくと診断するのは、咳、ゼー ゼー(喘鳴)、呼吸困難の3つの症状が繰り返し起こる場合です。しかし、咳や喘鳴は、カゼや気管支炎でも起こることがあり、肺炎などでも呼吸困難が生じることがあります。ちなみに、「ぜんそくでは?」との疑いで受診する2歳以下の幼児では、2~3割はぜんそく以外の病気ですが、5~6歳児ではほとんどがぜんそくです。正確な診断のためには、聴診によって、はっきり と喘鳴が聞き取れることが条件となります。
 ひとくちにぜんそく発作といっても、ゼーゼー・ヒューヒューだけで生活にはあまり支障のない(軽い発作)、夜も眠れず生活の妨げとなる(中発作)、チアノーゼ(唇や手の爪が白っぽくなる症状)が出たり、呼吸が苦しくて横になれない、ときには嘔吐するなど、通園や通学などの生活が困難となる(大発作)、の3段階に分かれます。  患者さんの訴えは、とかくオーバーになりがちなこともあり、医師にはこの見極めが重要となります。適切な治療を行なうためには、単にぜんそく発作があるというだけでなく、症状の程度を知ることも大切です。  また、子どものぜんそくの約半数は、「咽頭炎」や「気管支炎」など、気道の炎症を伴っています。このため、治療時には抗ぜんそく薬だけでなく、抗生物質の投与も必要になります。

 たとえばアレルギーマーチを断ち切る 
 小児ぜんそくでは、よく「アトピー体質」が問題になります。「アトピー」という言葉は、本来はぜんそくや「皮膚炎」「鼻炎」などを起こしやすい素因をもつ (家系)のことを指しています。アトピー体質はアレルギー体質とほぼ同じ意味で使われていますが、問題なのは、放置したままだと、皮膚炎→ぜんそく→鼻炎と、次々とアレルギー病が積み重なっていくことです。あたかも行進曲のようにみなせるところから、これを「アレルギー・マーチ」といいます。そこで、治療の際には、まず最初の病気を徹底的に治すことによって、この「アレルギー・マーチ」を断ち切ることが重要となります。 まだ現代の医学では根本的に改善することは困難ですが、適切な治療によって症状を押さえることは可能です。
 いま行なわれている小児ぜんそくの治療法には、大きくつぎの3つのグループがあります。

①原因物質の除去
②対症療法

 ①の方法は、まず、屋内をこまめに掃除してホコリやダニを除去することです。たとえば、六畳間を朝夕10分以上かける掃除をー週間ほど続ければ、アレルゲンのダニは5分の1ほどに減り、この状態ではアトピー性皮膚炎やぜんそく発作が防止されることが確かめられています。また、微量のアレルゲン・エキスを投与する「減感作療法」も、広くはこのグループにはいります。
  ②の方法は、発作の重症度によって、気管支拡張薬や抗アレルギー薬の内服のみ、ステロイド剤の吸入、注射、と3段階に分かれます。薬局に相談の多いケースは患者家族が内服薬を求める場合です。  このような場合、ぜひ理解しておいていただきたいのは、薬剤によって発作がおさまり、一見治っているようにみえるときでも、気管支はまだ過敏性症状が続いていることです。このような場合は階段を登ったり、冷たい風に当たると発作が再発します。 そこで、小発作が2~3日続くときは1週間、中発作なら3週間、大発作なら1月間は服薬を続けることが大切です。

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