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2020-09-10

骨粗しょう症

 骨粗しょう症ってどんな病気? 
 骨粗しょう症とは、長年の生活習慣などにより骨の量が減ってスカスカになり、骨折をおこしやすくなっている状態、または骨折をおこしてしまった状態のことをいいます。
そこで、骨量が2~3割ていど減り、骨の構造が弱くなって、その結果として骨折を起こしやすくなった状態ではじめて骨粗しょう症といいます。
骨量の減少は、おもに骨の中のカルシウムの減少が原因です。 寝たきりの原因の第1位が脳卒中、第2位が老衰、第3位が骨粗しょう症による骨折であることから、高齢社会が抱える問題の1つとなっています。

 どうして骨粗しょう症が問題になるのでしょうか? 
 童話などで出てくるおばあさんは、背中が曲がっていますね。これは骨粗しょう症によるものです。エジプトのピラミットから発掘されたミイラも骨粗しょう症になっていたそうです。このように骨粗しょう症は昔からよくみられた病気で、決して新しい病気でも珍しい病気でもありません。
高齢社会では、お年寄りの生活の質が重要です。せっかく長生きをしても、寝たきりでは何にもなりません。元気にからだを動かし、いきいきとした生活を送ることが重要ですそのためには骨粗しょう症にならないようにすることが大切になってきます。

 骨粗しょう症の原因はなんでしょうか? 
 骨は固いので、一度つくられると変化しないようにみえますが、実際は絶えず活発な新陳代謝をしています。身体の細胞と同じで、丈夫でしなやかな骨を保つためには、古い骨を壊し、たえず新しい骨に作り変える必要があるのです。 これを骨代謝といいます。ところが、骨のもとになるカルシウムの摂取が不足したり、身体が老化して骨をつくるためのホルモンが不足してくると、骨をつくる量よりも骨をこわす量のほうが多くなります。
こうして骨からカルシウムが徐々に減ってしまいます。人が生きている限り、骨も生きているのです。
骨には二つの役割があります。1つはご存知のとおり人体という建造物を支える柱の役割です。 そして、もうひとつ大切な働きがあります。 骨はカルシウムの巨大な貯蔵庫です。
一方、血液中のカルシウム量は骨に比べるとごくわずかですが、これを一定に保たないと、生命の維持に必要な心臓や脳が正常に働かなくなります。そこで、食事中のカルシウムが不足すると、不足分を骨から取り出して、血液中のカルシウム量を一定に保とうとする働きがおこります。
そして、カルシウムをいつも骨から取り出している状態が続くと、骨のカルシウム量が減少して骨粗しょう症になります。
高齢になると、どんな人でも骨の量は減ってきます。でもみんなが同じように減っていくのではありません。減りやすい体質や、生活のしかたが関係していますので、個人差が出てきます。まず、骨粗しょう症は女性に多くみられる病気です。
これは女性のほうがもともと骨が細いうえに、閉経によって骨をつくるもとになる女性ホルモンの分泌が減ることがあげられます。卵巣などの手術で人工的に閉経になっても同じです。
このほか、以下のような骨粗しょう症の危険因子があります。

(1)遺伝に関係するもの
 (閉経の時期、痩せ型、家族歴)

(2)生活のしかたに関係するもの
 (偏食、運動不足、アルコール・ コーヒーの多飲、喫煙、日光照射不足)

(3)病気に関係するもの
 (胃切除、糖尿病、甲状腺機能亢進症、高カルシウム尿症、
 ステロイド剤(グルココルチコイド剤)投与、原発性副甲状腺機能亢進症、腎不全)

これらの中には避けられないものもありますが、できるだけ危険因子を減らしていくように心がけましょう。

 骨粗しょう症になるとどんな症状があらわれるのでしょうか? 
 骨粗しょう症はサイレント・ディジーズといわれるように、静かに進行していきますので、自覚できるほどの症状が表れるのは更年期を過ぎてからです。
たとえば、立ち上がるときや重いものを持つとき、背中や腰が痛む、というのは自覚できる症状です。また、背中がまるくなってきたり、身長が低くなってきたりするのも骨粗しょう症の症状です。
さらに進むと、背中や腰の激しい痛みで寝込んでしまったり、ちょっと転んだだけで手首や足の付け根を骨折するようになります。 こうなると、背中の曲がり方もひどくなり、身長の縮みも目立つようになります。
背中や腰が痛むのは、背中や腰の骨(脊椎)の一部がスカスカになった結果、潰れてしまうからです。ポキッと折れるだけが骨折ではなく、このように骨が潰れるのも骨折で、圧迫骨折といいます。圧迫骨折を起こすため、背中が曲がったり、背が縮むのです。

「骨粗しょう症」の治療法には、大きく分けて三つあります

 薬物による治療 
 従来から、カルシウム、ビタミンD、ビタミンKなどの骨の栄養素や、骨が壊されることを抑制する薬剤が多く使われています。さらに、最近は骨形成を促進する副甲状腺ホルモン薬も使用されるようになるなど、患者さんの骨の状態によって最適な薬剤を選ぶことができるようになってきています。
しかし、せっかく新しい薬剤が開発されても、約半数の方が1年で処方どおりに服薬しなくなり、 5年後には約半数の方が服薬を辞めてしまうと言われています。
骨粗しょう症による骨折を防止するためには、治療を継続することが重要

 運動による治療 
 運動することにより筋力が増強し、さらにバランス感覚が良くなり、転倒しにくくなることが期待されます。最近は、運動器の障害による要介護の状態や要介護リスクの高い状態であるロコモティブシンドローム(運動器症候群)の対処法として、ダイナミックフラミンゴ療法が注目されてきています。この療法では、片方の脚で左右各1分間立ち、これを1日3セット実施することが望ましいと言われています。しかし、転倒しないように注意が必要です。

 食事による治療 
 カルシウムは骨を構成する重要な成分の一つで、カルシウムを吸収するためにはビタミンDが必要です。さらに、骨にかかわる成分としては、ビタミンKやタンパク質なども必要です。したがって、カルシウムだけではなくバランスのとれた栄養を摂取することが大切です。また、治療のために必要なカルシウムの量としては、一日当たり700~800㎎がすすめられていますが、摂取のしすぎには注意が必要です。

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