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2020-09-09

むくみの原因と対策

 むくみとはなにか 
 むくみといえば、よく顔や手指、また下肢などに “水” が溜まった状態のことだと思い込みがちですが、これは正しくありません。 人間のからだは、体重の60%を水分が占めているのですが、この水分は細胞の内側にある液(細胞内液)と外側にある液(細胞外液)に分けられます。内液と外液は、いつもは同じ配分に保たれていますが、そのカラクリの主役となっているのは、外液側にある生理的食塩水(正確には塩化ナトリウム)の濃度なのです。
 むくみ(浮腫)というのは、この外液側の食塩水の量が増えることで、いいかえると「体内に食塩が溜まること」ということができます。食事などで食塩の摂取量か増えたとき、当然、体内のナトリウム濃度は高くなります。そこでからだの側ではー定濃度を維持したいため、のどに渇きを覚えさせて水分を取り込ませ、濃度を薄めようとします。こうして食塩を多く取ると、からだの中がむくみっぽくなるわけです。
 しかし、野放図に水分量を増やすと、必要なナトリウム濃度まで薄めてしまいます。 そこで、今度は余計な水分を体外に排出させて、生理的食塩水をもとの濃度に戻そうとします。この調節を行なっているのが腎臓での排尿の仕組みなのです。これでむくみは、原理的には解消されることになります。

 危ないむくみと危なくないむくみがある 
 実際には、むくみの原因はいろいろあります。先に、細胞外液(食塩水)が増える状態がむくみだといいましたが、この原因としてまず考えられるのは、腎臓でのトラブルの発生です。 腎臓の機能が低下すると、排尿機構がうまく作動しなくなり、むくみが起ります。
 心臓病の患者さんでは、心臓のポンプ機能が低下するため、静脈側の血管の水はけが悪くなって末梢の血管から水分が滲み出てむくみになります。この水分もやはり食塩水です。 また、肝臓に障害のあるときには、肝臓が「アルブミン」というたんぱくを作らなくなるので、血液のアルブミンが減少します。 ネフローゼという腎臓の病気のときには、アルブミンが尿から大量に体外に出てしまうためアルブミンが減少します。アルブミンは細胞外液を血管の中に吸収する役割をするたんぱくなので、これが減少すると血管の外に細胞外液(食塩水)が溜まって、むくみになります。 以上のように、むくみは症状のーつにすぎませんが、それが出るということは、腎臓、心臓、肝臓に重大な病気があるということを現わしています。放置すれば命にかかわる結果にもなり “危ない” むくみの徴候ということになります。

 とにかく医師に診てもらうこと 
 むくみが出る病態には、これ以外にもさまざまなものがあります。 しかし、直接命にかかわるほどではないという意味では、そのほとんどは “危なくない” むくみです。 たとえば、女性に多いむくみの大半がそうです。とくに生理(月経)前の女性の体内でま、ふだんはバランスのとれている「プロゲストロン」と「エストロゲン」という女性ホルモンの比が変わることから、むくみが起こりやすい状態になっています。このようなとき食塩含有量の多い食事をとると、ハッキリむくみが現われますし、またイライラなどの感情の乱れも、この水分量の増加のためだという学説もあります。
 更年期の女性でも同様の傾向がみられるのですが、このようなむくみだと、塩分摂取量を控えることによって容易に治ります。また、ホルモンの乱れから生じるむくみは、決してブクブクにむくむということはありません。しかし、むくみがあっても、危ないむくみなのかどうかは、見た目だけでは判断がつきません。これを正しく判断するためには、血液検査や心電図などの検査を積み重ねる必要があります。したがって、むくみがあるときには、とにかくお医者さんに診てもらい、危ないむくみかどうかを確かめてもらうことが、もっとも大切なのです。

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