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2020-09-09

ストレスを知ろう!

 木々の葉が色づき、過ごしやすい季節となってきました。しかし、勉強に追われている受験生や、仕事に追われているお父さん、そして、育児と家事に振り回されているお母さんにとっては、ゆっくりと移りゆく季節の変化を感じ取る余裕もないのではないでしょうか?  現代社会は、ストレスに満ちあふれていると言われます。そして、ストレスは様々な病気の発症や経過に影響を与えています。そこで今回はストレスの特性について触れ、さらに、ストレス社会を生き抜くための方法をご紹介したいと思います。

 ストレスを知ろう 
「ストレス=不健康」とつい考えがちです。「ストレスがたまって疲れてしまった」「憂うつになった」「胃が痛い」など、この頃では本当によく聞かれる言葉となりました。また、胃潰瘍、糖尿病、高血圧、動脈硬化など、成人病の多くの原因にストレスがあるということもよく言われることです。こうなると「ストレスは現代人にとって重大なる敵」と思えてしまいます。あなたもストレスを感じていて、それを「なんとかしたい」と思っているのではありませんか?
 しかし、ストレスがあるということは、私たちが生活していくうえで、じつはあたりまえなことなのです。もしストレスがなかったら、なんの刺激もなくなって人間らしい生活ができなくなってしまいます。問題は、ストレスといかにじょうずにつき合うかということなのです。
 そのためには、まず、ストレスとはいったいどのようなものなのかを知ることが基本です。そして、ストレスに反応する自分についてよく知り、自分なりのストレス解消のコツをつかむことが大切です。そしてストレスを逆手にとって、充実した生活ができれば、それにこしたことはないでしょう。

 ストレスは知的向上心を生み出す 
 アメリカのスキナー博士(行動心理学者)が、こんな実験をしたことがあります。実験に協力してくれる人を集め、好きなときに眠り、好きなときに食べ、好きなことをして時間を過ごすという生活をしてもらいました。多くの人が「1度はしてみたい」という夢を実現させたわけです。こうして6か月間生活させたところ、なんとその人たちはほとんど何もせずに、ただ食べて寝ているだけという生活を送ったということです。つまり、ストレスのない環境では、人間は知的向上心を失ってしまうということがわかったのです。人間が人間らしく、生きるためには、ストレス(この場合は刺激)はなくてはならないものといえるでしょう。では、いろいろな問題を引き起こすもとであると同時に、なくてはならないものであるストレスについて、また、ストレスとのつきあいかたについて、ご一緒に考えてみましょう。

 高度文明社会とストレス 
 文明が高度に発達してきて、その中で生きる私たちにはますます多様なストレスがかかる時代となってきています。例えば情報の量は非常に多く、しかも細かく、仕事など、情報を使って何か行動をしようとするには、たいへんな量の情報を処理しなければならなくなっています。同時にもたもたしているとチャンスを逃したり、人に迷惑がかかったりと、情報処理のスピードも求められています。それだけにひとりひとりにかかってくるストレスは、かなり大きなものとなっているといえるでしょう。
 人間関係でも、物、お金などによる関係ばかりが増え、心の交流は少なくなっているのではないでしょうか。会社などで上司や同僚からどのように見られているのか不安を持ちながら、日々の大量の仕事をこなすのは大きなストレスです。
 加えて現代は欲望社会。企業が消費をあおるためか、また人間の持つ向上心のためか、物質的にどんどん豊かに、ますます高い目標をめざして奮闘しなければならないような価値観やしくみが、世の中にはあります。そのため、自分の欲求の高さと現実のギャップ、まわりからの期待の大きさと実力とのギャップに苦しむ人も多いようです。

 家庭もストレスのかかる場に 
 このような時代になってくると、家庭もこれまでとはちがったストレスの発生する場です。
 核家族化によって、先輩であるお年寄りからの手助けや助言は受けにくくなり、家事、育児にかかる負担や不安は大きく感じられることでしょう。子どもの教育や進路も、家庭の重大な問題で、うまくいかなければ大きなストレスです。
 家庭の経済をらくにしようと共働きをしたり、夫が仕事で帰宅が毎日遅い、会社の命令で単身赴任など、現代の社会ならではの、いろいろなストレスも増えてきました。
 ですから、職業を持つ人であろうと、家庭にいる人であろうと、また大人に限らず子どもにも、ストレスはしょっちゅうかかっているのです。現代はこのようなストレスとじょうずにつきあうことが必要な時代といえましょう。

 ストレスは万病のもと 
 通常、私たちはストレスがあっても、それに耐えたり、解消したりして生活しています。しかし、ストレスがたまったり重なったりして、ストレスとうまくつきあえなくなってしまったら、そして、がまんの限界をこえてしまったらどうなるでしょうか。
ある人は気分がふさぎこんでしまう“うつ病”にかかってしまうこともあります。うつ病は精神異常ではなく、誰でもがかかる可能性のある神経の働きの病気です。不安感、緊張、イライラしたり怒りっぽくなる人も多くいます。眠れなくなったり、途中で目覚めてしまう“不眠”、それに“頭痛”“心悸亢進”“食欲不振”“下痢”“便秘”など、自律神経の領域に異常が起こる人も多くいます。ストレスの影響でからだに現れるこれらの症状は“心身症”といいます。この他に自分の世界に閉じ込もったり、症状というより行動ともいえるかもしれませんが、アルコールやシンナー、麻薬に依存してしまうのもストレスのせいといえるでしょう。 この他、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、肝臓病、糖尿病、胃・十二指腸潰瘍などのいわゆる成人病も、ストレスが多い人のほうがよくかかっていることが心身医学的な調査によって確かめられています。
 ですから、まさにストレスは心だけではなく、からだにまでおよぶ「万病のもと」といってよいのです。

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