2020-09-09
耳鳴りの豆知識
耳鳴りの原因はまだ解明されていないものが多い
耳が正常な人でも、深夜や無音室などでは「シーン」という音が聞こえます。これは耳の神経細胞が活動する音なのですが、耳(頭)の中で「ピーン」あるいは「キーン」という音が長く続いたり、強く響いたりするときは耐えがたい苦痛を感じるものです。
耳鳴りには、本人だけしか聞こえない「自覚的耳鳴」と、他人にもわかる「他覚的耳鳴」かあります。後者の耳鳴りは、耳管の開閉音の響きや軟口蓋がけいれんするときの音です。したがって、このような耳鳴りは、音の発生源もとらえやすく、治療も容易です。
しかし、耳鳴りの大半は本人にしかわからない「自覚的耳嶋」です。困ったことこ、このような異常がどの部位で起こるのか、また、なぜ生じるのか、まだ十分に解明されていないのです。 というのは、このような異常を調べる他覚的な方法がなく、しかも耳鳴りが起こる部位は外耳から脳内にある聴覚野(聞こえを感じている部位)まで広範です。そこで、本人の異常の訴えだけから、起こる部位の特定ができないのです。
しかし、検査方法がまったくゼロではありません。耳鳴りという音が聞こえる点に着目して、聞こえ(難聴)の度合いを調べると、逆に隠された病気が浮かび出るのです。 耳鳴りの起こりやすい病気とは
強い耳鳴りを感じるのは、おもに次のような病気のある場合です。 ①突発性難聴、②メニエール病、③老人性難聴、④聴神経腫瘍、⑤その他原因不明のもの。
突発性難聴は、ある日突然、聞こえが悪くなる病気ですが、聴力の低下だけでなく耳閉感や耳鳴りが伴なうのが特徴です。 そこで、まだ本人が聴力低下に気づかない段階であっても、耳鳴りや耳閉感があれば、聴力検査から病気の本態の診断が可能となります。さらに、突発性難聴の治療によって耳鳴り自体を消失させることもできます。
メニエール病では、一般に激しいめまいとともに耳鳴りが生じます。そこで、耳鳴りだけで受診する人はまれです。また、この病気でも治療を受けて病態が改善すれば、耳鳴りも消失していきます。
問題なのは③から⑤の、老人性難聴、聴神経腫瘍、原因不明の場合です。老人性難聴というのは年齢とともに増えていく一種の “自然現象” のようなもので、治りもよくありません。また、原因不明の耳鳴りに対しても目下のところ有効な治療法がありません。
もっとも怖いのは聴神経腫瘍です。これは内耳の奥にある聴覚を脳に伝える神経経路に腫瘍ができる病気で、より早期での正確な診断と腫瘍の摘出手術が必要です。聴神経腫瘍では、がんこな耳鳴りとともに進行性の難聴が起こります。しかし この病気は聞こえやめまいの精密検査によって正確に身診断することかできます。そこで、耳鳴りで受診したとき、医師がまず疑うのも この聴神経腫瘍の有無なのです。 聴力が回復した人では7割は治る
耳鳴りを訴えて耳鼻科を受診する人の、半数以上には難聴が認められています。難聴に伴う耳鳴りには、外耳から中耳までの音の伝わリ方に障害のある「伝音難聴」と、内耳から奥に原因のある「感音難聴」があります。
伝音難聴は、慢性中耳炎や浸出性中耳炎、耳管狭窄などが原因のことが多く、このような病気の治療によって耳鳴りも消失します。しかし、感音難聴や聴力検査をしても異常の認められない「無難聴性耳嶋」の場合は、まだ完全に耳鳴りを止めることはできません。いわば、重症の耳鳴りです。
突発性難聴の耳鳴りの場合、治療によって治りますが、「早期発見によって聴力が回復した場合」という前提条件がつきます。そのためには異常を感じてから1週間以内に診察を受ける必要があります。
つまり「これはカゼの後遺症だろう」などと勝手に自己診断して、放置しておくと取り返しのつかないことになります。なかには聴神経腫瘍のような怖い病気がゼロだともいえません。耳鳴りのあったときには、一度それも早い時期に耳鼻科を受診することが勧められます。 耳鳴りの治療の原則
まだ耳鳴りを完全に止められない現在、耳鳴りの治療は、症状が完全に消失しないまでも、生活に支障をもたらさない程度まで抑えることが原則となります。 このための治療法には①薬剤による方法、②「マスカー」という専用器具を用いる方法、③心理的なコントロール法があります。
使用される薬剤は、マイナートランキライザー(精神安定剤)、ビタミン剤、血管拡張剤、抗けいれん剤などですが、症状の強弱や、どの部位に原因があるのか不明な場合も多く、投与法は一様ではありません。「マスカー」というのは、補聴器のようなかたちの専用具を耳に装着して、外部から雑音を与えて耳鳴りを打ち消すものです。ふつう1日2時間ほど雑音を送り込んでやれば、1時間半から2時間の効果が得られます。そこで、1日のうち、とくに耳鳴りが気になる就寝前などに使用されますが、これはFMラジオの各放送局の合間から出ているノイズでも同じ効果を得ることができます。
同じ 雑音が聞こえても、それを苦痛と感じるかどうかは、本人の気持ちのもちようによっては気にならないことがあります。これは耳鳴りの場合も同様で、本人が気にすればするほど耐えがたく感じられます。この原理を応用して神経を鍛えるのが、心理的なコントロール法です。
診断の結果、怖い病気が除外されたあと、耳鳴りを感じたとき もっとも大切なことは「あまり気にしないこと」てす。それだけで改善するケースも少なくありません。
耳が正常な人でも、深夜や無音室などでは「シーン」という音が聞こえます。これは耳の神経細胞が活動する音なのですが、耳(頭)の中で「ピーン」あるいは「キーン」という音が長く続いたり、強く響いたりするときは耐えがたい苦痛を感じるものです。
耳鳴りには、本人だけしか聞こえない「自覚的耳鳴」と、他人にもわかる「他覚的耳鳴」かあります。後者の耳鳴りは、耳管の開閉音の響きや軟口蓋がけいれんするときの音です。したがって、このような耳鳴りは、音の発生源もとらえやすく、治療も容易です。
しかし、耳鳴りの大半は本人にしかわからない「自覚的耳嶋」です。困ったことこ、このような異常がどの部位で起こるのか、また、なぜ生じるのか、まだ十分に解明されていないのです。 というのは、このような異常を調べる他覚的な方法がなく、しかも耳鳴りが起こる部位は外耳から脳内にある聴覚野(聞こえを感じている部位)まで広範です。そこで、本人の異常の訴えだけから、起こる部位の特定ができないのです。
しかし、検査方法がまったくゼロではありません。耳鳴りという音が聞こえる点に着目して、聞こえ(難聴)の度合いを調べると、逆に隠された病気が浮かび出るのです。 耳鳴りの起こりやすい病気とは
強い耳鳴りを感じるのは、おもに次のような病気のある場合です。 ①突発性難聴、②メニエール病、③老人性難聴、④聴神経腫瘍、⑤その他原因不明のもの。
突発性難聴は、ある日突然、聞こえが悪くなる病気ですが、聴力の低下だけでなく耳閉感や耳鳴りが伴なうのが特徴です。 そこで、まだ本人が聴力低下に気づかない段階であっても、耳鳴りや耳閉感があれば、聴力検査から病気の本態の診断が可能となります。さらに、突発性難聴の治療によって耳鳴り自体を消失させることもできます。
メニエール病では、一般に激しいめまいとともに耳鳴りが生じます。そこで、耳鳴りだけで受診する人はまれです。また、この病気でも治療を受けて病態が改善すれば、耳鳴りも消失していきます。
問題なのは③から⑤の、老人性難聴、聴神経腫瘍、原因不明の場合です。老人性難聴というのは年齢とともに増えていく一種の “自然現象” のようなもので、治りもよくありません。また、原因不明の耳鳴りに対しても目下のところ有効な治療法がありません。
もっとも怖いのは聴神経腫瘍です。これは内耳の奥にある聴覚を脳に伝える神経経路に腫瘍ができる病気で、より早期での正確な診断と腫瘍の摘出手術が必要です。聴神経腫瘍では、がんこな耳鳴りとともに進行性の難聴が起こります。しかし この病気は聞こえやめまいの精密検査によって正確に身診断することかできます。そこで、耳鳴りで受診したとき、医師がまず疑うのも この聴神経腫瘍の有無なのです。 聴力が回復した人では7割は治る
耳鳴りを訴えて耳鼻科を受診する人の、半数以上には難聴が認められています。難聴に伴う耳鳴りには、外耳から中耳までの音の伝わリ方に障害のある「伝音難聴」と、内耳から奥に原因のある「感音難聴」があります。
伝音難聴は、慢性中耳炎や浸出性中耳炎、耳管狭窄などが原因のことが多く、このような病気の治療によって耳鳴りも消失します。しかし、感音難聴や聴力検査をしても異常の認められない「無難聴性耳嶋」の場合は、まだ完全に耳鳴りを止めることはできません。いわば、重症の耳鳴りです。
突発性難聴の耳鳴りの場合、治療によって治りますが、「早期発見によって聴力が回復した場合」という前提条件がつきます。そのためには異常を感じてから1週間以内に診察を受ける必要があります。
つまり「これはカゼの後遺症だろう」などと勝手に自己診断して、放置しておくと取り返しのつかないことになります。なかには聴神経腫瘍のような怖い病気がゼロだともいえません。耳鳴りのあったときには、一度それも早い時期に耳鼻科を受診することが勧められます。 耳鳴りの治療の原則
まだ耳鳴りを完全に止められない現在、耳鳴りの治療は、症状が完全に消失しないまでも、生活に支障をもたらさない程度まで抑えることが原則となります。 このための治療法には①薬剤による方法、②「マスカー」という専用器具を用いる方法、③心理的なコントロール法があります。
使用される薬剤は、マイナートランキライザー(精神安定剤)、ビタミン剤、血管拡張剤、抗けいれん剤などですが、症状の強弱や、どの部位に原因があるのか不明な場合も多く、投与法は一様ではありません。「マスカー」というのは、補聴器のようなかたちの専用具を耳に装着して、外部から雑音を与えて耳鳴りを打ち消すものです。ふつう1日2時間ほど雑音を送り込んでやれば、1時間半から2時間の効果が得られます。そこで、1日のうち、とくに耳鳴りが気になる就寝前などに使用されますが、これはFMラジオの各放送局の合間から出ているノイズでも同じ効果を得ることができます。
同じ 雑音が聞こえても、それを苦痛と感じるかどうかは、本人の気持ちのもちようによっては気にならないことがあります。これは耳鳴りの場合も同様で、本人が気にすればするほど耐えがたく感じられます。この原理を応用して神経を鍛えるのが、心理的なコントロール法です。
診断の結果、怖い病気が除外されたあと、耳鳴りを感じたとき もっとも大切なことは「あまり気にしないこと」てす。それだけで改善するケースも少なくありません。
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