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2020-09-09

うつ病を知ろう

 うつ病の徴候は、不眠+体の不調 
 うつ病は、ことに中高年層に多い病気ですが、現代人では20人に1人がそうだといわれるほど、増加のー途をたどっています。 この病気の本態は、名前が示すとおり”心のやまい” なのですが、陥った人たちが最初に感じる異常や症状の多くは、精神的なものより、むしろ身体的な「体の不調」なのです。とりわけ多い訴えは[不眠][疲れ][だるさ]のような不快感です。
 中年女性では、閉経に伴う更年期障害でも、よくこのような「体の不快感」を感じることがあります。更年期障害は女性ホルモンの分泌低下によって生じる病態ですが、このなかにはうつ病が潜んでいる場合もあります。そこで、婦人科で治療を受けていても、気分の不快感が取れないような場合は、うつ病を疑ってみることも大切です。
 薬局に来られた患者さんが、体の不調を訴えて「何かよい薬は?」と聞かれたときには、「気分はどうですか?」との質問とあわせて「睡眠はよく取れていますか?」と、聞くようにしています。とくに[気分がすぐれず]しかも[不眠]が2週間以上も続いているような人の場合は、うつ病の疑いが濃くなるため、一度、専門医(できれば心療内科医)の受診を勧めています。
 不眠を訴える患者さんのなかには、睡眠薬に頼りがちな人もいます。しかし、睡眠薬を飲んでいても、起床時に気分がすっきりしないような人では、うつ病の場合が少なくあません。また、男性では “不眠対策” として寝酒が習慣化している人もいますが、長く続けていると “アル中” など別の治療が必要になる場合もあり、要注意です。
 うつ病の患者さんのなかには、はっきり診断が付かないまま、長期間放置されている方が非常に多いそうです。 また、うつ病になる人たちは、どちらかといえば、人から言われたことを素直に受け入れる “お人善し” タイプの人たちが多く、「そんなときは○○を行なうといい」と言われると、それを信じて、医師に診てもらわなかったために、病状を悪化させてしまうこともあるようです。 どんな病気でも早期診断と早期治療が病気を治す原則ですが、これは “心のやまい” であるうつ病の場合にも当てはまります。病気を長引かせないためには、専門医の診察が大事であることを理解しておいてください。

 何よりも体を休めることが重要 
 うつ病に陥る背景には「生命現象のカゲリ」があります。つまり、この病気は単なる気分のふさぎなのではなく、生きていくエネルギーが、かなり枯渇した状態なのです。このため、体を動かしたり、スポーツなどによる気分発散だけでは改善しません。
 また、他人からの「頑張れよ」などと気分を奮いたたせるような言動は、かえって病状を悪化させることもあります。うつ病を治すためには、①何よりも体を休めること、あわせて②心のやまいに対する正しい治療を受けることが必要です。治療のためには抗うつ薬(向精神薬)が用いられますが、これには医師の処方が必要です。
 病状の軽いうちは、カゼと同じように、体を休ませることだけでよくなることもあります。しかし、放置されたままでこじれてくると慢性化していきます。つまり、「単なるカゼのはずが、肺炎にまで進行する」ことにもなりかねません。
うつ病と診断された人に対しては、家族や身の周りの人たちの、いたわりや配慮が重要です。何よりもまず疲れた体を休ませてあげたり、体力や緊張を強いる仕事などの肩代りをしてあげることが大切です。このためには、家族だけでなく、職場の同僚や上司の協力が必要なことはいうまでもありません。
 ところで、うつ病が進行した人たちで最も怖いのは自殺の衝動が起こることです。沈み切った心の状態から、追い込まれた気持ちや絶望感から、つい死を願う気持ちが起こりがちとなるのですが、このような場合は、医師と連絡を取り合いながら、監視を怠らないよう心掛けてください。

 薬剤服用時の注意点 
 うつ病治療には、向精神薬の使用はどうしても欠かせません。そこで、医師からうつ病と正しく診断が付いたときには、「治る病気なのだ」と信じて、処方された薬剤(抗うつ薬)をきちんと飲むことが大切です。 また、うつ病と診断されたときには、主治医から薬剤を飲む際の量や時間をよく確かめておくことも重要です。というのは、抗うつ薬にはなにがしかの副作用があるため、つい飲み切らずに済ますケースも少なくないからです。
 とりわけ副作用が出やすいのは高齢者の場合ですが、[口渇][動悸][便秘][排尿困難]などの症状が出たときには、すぐ医師や薬剤師に相談して薬剤を代えてもらう注意も必要でしょう。
 医師のほうでも、患者さんの病態にあわせて、ケースバイケースでいろいろと副作用の少ない薬剤を組み合わせて使用しています。その工夫のー例として漢方薬なども利用されており、それによってよい効果を得ている例もあります。しかし、まだ現状では漢方薬だけでうつ病を治すことはできません。
 なかには、抗うつ薬や睡眠薬などの向精神薬そのものを忌避する人もいます。しかし、うつ病を治すためには、やはり薬剤治療が必要なのだと理解してください。


うつ病が疑われやすい症状とは
・ 眠れていない
・ 元気がない
・ 顔色がさえない
・ 口数が少なくなった
・ 朝方なにをするのも大儀そうにみえる
・ 帰宅後疲れがひどそうだ
・ 休日も疲れているようでゴロコロしている
・ 食欲がなくやせてきた
・ 性欲も落ちた
・ 悲観的なことを言う
・ 話しかけても生返事しかしない

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