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鼻づまり

 鼻づまりには大きく2つのカラクリがある 
 鼻づまり(鼻閉)とは、鼻の入口から奥のほうまで空気か通りにくい病態のことを指しますが、このような症状が起こる原因には大きく2つのカラクリがあります。 1つは、鼻中隔湾曲や鼻甲介骨肥大など、鼻の中が湾曲したり肥大しており、構造的に空気が通りにくくなっている状態のためで、これを「構造性鼻閉」といいます。もう1つは、鼻腔内を覆っている粘膜に炎症、うっ血、浮腫(むくみ)、まれに腫瘍(がん)などの病気や異常病変が生じたために起こるものてす。
 また、鼻づまリ自体も一様ではなく、片側だけに起こるもの(片側性鼻閉)、両側に起こるもの(両側性鼻閉)、左右交互に起こるもの(交代性鼻閉)などさまさまです。日常よく経験する交代性鼻閉の原因は、慢性鼻炎、鼻アレルギー、慢性副鼻腔炎などの病気によって起こります。 起こり方にも、突然起こるもの(発作性鼻閉)と、長く続くもの(持続性鼻閉)があります。発作性鼻閉は、急性鼻炎や花粉症のような鼻アレルギーなどのように鼻腔の粘膜に異常か生じたときによく起こりますが、持続性鼻閉の場合は、鼻中隔湾曲や鼻甲介骨肥大などの構造的な病変や、鼻茸(まれに腫瘍)ができた場合などに多くみられます。

 病気以外にも鼻閉が生じることがある 
 同じ鼻閉でも、子ども(ことに乳幼児)に起こるものと、おとなに起こるものでは原因が異なります。乳幼児のの片側性鼻閉では先天的な構造異常や異物などによるものもあり、小児(2歳以上の子ども)の両側性鼻閉には鼻炎や鼻アレルギー、アデノイドなどの原因で生じることも少なくありません。
 一方、おとなの場合は、鼻の病気だけてなく、飲酒、妊娠、月経などで起こることもあります。また、ふつう何かの病変で鼻づまりが起こる際には、鼻閉だけという症状はまれで、多くの場合、鼻汁や鼻血などを伴います。下の表は、それらの異常や症状と、小児(乳幼児)・成人それぞれのおもな鼻づまりの原因となる病気の一覧です。
 ここで、とくに注意していただきたいのは、自分で鼻づまりを治そうとして、点鼻薬(血管収縮性点鼻薬)を長期連用していた場合にも、かえってそれが原因で鼻閉が生じることがあることてす。 このような鼻づまりのことを「薬物(点鼻薬)性鼻炎」といいます。

 市販の薬剤で治療する際の注意点 
 鼻つまりが生じたときもっともよく用いられるのは先の血管収縮性点鼻薬による治療です。この薬剤は市販薬も医師が使っているものも薬効や組成はほぼ同じで、鼻腔内の粘膜やその底部の血管を収納させることにより うっ血状態を改善するものです。しかし、この薬剤には浮腫そのものを改善する効能はありません。
 そこで、花粉症の際の鼻アレルギーやうっ血が主病変である血管運動性鼻炎などのように、鼻腔粘膜の病変によって生じる鼻づまりにはよく効くのですが、構造性鼻閉や一年じゅう症状の続くような通年性鼻アレルギーなどでは、一時的に改善する現象は認められても、長期的にはあまり効果か期待できません。
 また、これまでにも触れたように、効くからといって長期間連用していると、薬物性鼻炎を起こす原因ともなります。したがって、この薬剤の使用が勧められるのは花粉症のように症状が1~2ヶ月間に限定される鼻アレルギーだということになります。
  鼻づまりの大きな原因である浮腫をとる薬剤として有効なのは、鼻用定量噴霧式の副腎皮質ホルモン剤(局所ステロイド剤)です。しかし、局所ステロイド剤を使用する場合は、医師による診断と処方が必要です。
 また、構造的鼻閉による鼻づまりを根治するためには、手術による方法しかありません。
 日常、鼻づまりをよく経験するのは就寝時です。これは、夜間には血管を支配している副交感神経の活動が活発になり、血管が拡張するため、鼻腔内の血管にうっ血が生じやすくなるためです。このような症状を起こさないためには、ふだんから規則正しい生活と適度な運動によって、血液の循環をよくすることが大事です。
 女性では、妊娠中に鼻閉を起こしやすいのですが(妊娠性鼻閉といいます)、応急処置として蒸しタオルをしばらく鼻の上に乗せておくと効果かあります。この原理を応用して、最近では43度に温めた蒸気を鼻腔内に噴霧する市販の装置も登場しており、鼻づまりを起こしやすい人たちには勧められます。
  薬剤を使用する場合、とくに気をつけていただたきたいのは、効果があるからといって、成人用の点鼻薬を2歳末満の幼小児には絶対に使用しないことです。 まだ発育過程にある幼小児では、薬剤のもつ刺激作用が思わぬこわい副作用を招きかねません。また、表中にもあるように、小児のアデノイドなど、原因がわかっている場合には、原病の早期治療が大切なことはいうまでもありません。

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